平成30年6月
(一社)建設コンサルタンツ協会東北支部
(一社)東北測量設計協会
国土交通省 東北地方整備局
風水害や地震等による自然災害が発生した場合、国・地方公共団体が連携し、人命救助や復旧活動等を効果的に展開する必要がある。その様な事態に際し、国土交通省の地方整備局は、道路、河川、港湾等の被災状況の把握や復旧活動に大きな役割を担っている。そのほか、被災自治体が行う被災状況の迅速な把握、被害の拡大の防止、被災地の早期復旧等に対する技術的な支援を実施している。
地方整備局の任務を遂行する上で、ドローンによる被災状況調査は、有効な調査手法となってきており、立入が困難な被災箇所の映像が、災害時の状況把握に果たす役割は非常に大きい。
一方、被災状況調査におけるドローンを用いた効果的な撮影手法は、まだ確立しているとはいえない。その要因としては、ドローン自体が日進月歩で進化を遂げている途上であることや、ドローンを用いた災害時の調査事例が蓄積されていないことが考えられる。
そこで、国土交通省 東北地方整備局では関係団体とともに、平成28年 台風10号のドローンを用いた被災状況調査を主な題材として、ドローンの撮影手法に関して得られた知見をまとめることとした。本来であれば、より幅広い事例を分析したマニュアル等の作成が望まれるところであるが、少ない事例に基づく検討結果であることからポイント集という形でまとめることにした。
なお、災害時のドローン活用の使途としては、人命救助・捜索、救命物資等の輸送、建物倒壊状況調査、地表面や建物等の3次元形状把握等あるが、本書は、「早期復旧や被害の拡大防止等の検討のために行う、社会資本の被災状況の迅速な把握を目的とした動画撮影」に特化している。
そのほか、都市部におけるドローンによる被災状況調査は、山間地が被災した場合と異なる視点もあるが、今回検討した映像のうち都市部の映像は僅かであることから、十分にカバーされていない。
本書は、東北地方整備局における今後のドローンの効果的な活用を目的としているが、災害対応に従事する各方面におけるドローンの活用に、少しでもお役に立つ部分があれば幸いと考えている。