どの操縦者と機材・装備品の組み合わせでも同じ作業ができるわけではない。このため、個々の操縦者と機体が実施できる作業を事前に把握し、効率的な作業計画を検討する必要がある。
また、被災状況調査の手法としては、ドローンを活用する他に、地上踏査、ヘリコプター、固定翼機及び衛星によるもの等がある。その中で、ドローンを活用する場所は、他の手法では対応できない場所とするのが効果的である。ドローン調査の特性をよく知り、場所毎に適切な調査手法を選択できることが重要である。
例として、平成28年の台風10号の際の対応を振り返る。岩手県 岩泉町を流れる小本(おもと)川水系で甚大な被害が生じ、小本川支川では、斜面崩壊や冠水・洗掘の影響により川沿いの道路が通行不能になり、その上流側が孤立する事態が数多く発生した。
このような場合、FPV2による目視外飛行が可能な操縦者であれば、下流側の安全な場所から上流側の被災状況を電波状況が許す範囲で撮影できる。
岩泉町の被災状況調査では、目視外飛行が可能な操縦者を確保できたのが発災から5日後だったため、それ以前は、道路が寸断した箇所より上流側の地区については、ヘリコプターから撮影した映像や地上部からの限られた情報に頼る以外になかった。もし、目視外飛行が可能な操縦者を確保できていれば、調査範囲を限定しない調査が早期に可能になっていたと思われる。
現場の制約条件により、投入すべき操縦者や機材は異なってくる。例えば、都市部で大地震が発生した際等、第三者の上空でドローンを飛ばす必要がある場合、所定の飛行時間を確保するための並列接続バッテリーや、対人防護の対策としてプロペラガードの装着が原則的には必要である。さらに最大離陸重量が25kg以上のときには特段の安全措置が求められる等、使用機材の制限がある。そのような条件下での飛行許可も得ている操縦者が確保できれば、都市部での調査に優先して従事してもらうことが望ましい。
現在、ドローン活用の観点で被災箇所を分類している事例はない。今後、適切な機材・装備品と操縦者の組み合わせを検討していく上で、このような分類を検討し、災害発生時のより的確な作業計画の検討に結びつけていくことが望ましい。