一定エリア内の被災状況を把握するためには、被災状況がある程度明確に視認できる高度から対象範囲を一定方向に飛行する方法が採られる。
具体的には数10m~100m程度の対地高度が目安となる。なお、被災が明らかになった箇所は、被災箇所の全体像にも映像のニーズがあるため、全体像の映像の取得にも努める。ただし、航空機等の他の調査手法で全体像の映像が取得できている場合は、その限りではない。
全体像を撮影する場合は、対地高度はできるだけ通常時の飛行の禁止空域である150m未満の対地高度になるようにする。やむを得ず150m以上の対地高度に機体を上げる場合は、他の航空機の接近が無いことを確認して行う。
災害時は、対地高度150m以下の空域にも救助・捜索を目的としたヘリコプター等が飛行している場合があり、その飛行を妨げてはならない。
ドローンを活用することにより、他の調査手法では得られない映像が明確に得られるのは、人が入れない場所から撮影した被災箇所の詳細がわかる近接映像である。
例えば、河川の撮影においては対岸への交通遮断により対岸から被災箇所の詳細を把握する際にドローンの優位性が発現する。また、TEC-FORCEが被災箇所を調査するにあたり、ドローン映像を確認することで、被災箇所のオーバーハング等事前の安全確認に活用できる。
現場条件にもよるが、対象物から数m~15m程度の距離からの撮影が基本となる。ただし、地上の人の活動状況や地形・植生等の条件によっては、安全が確保できる高度で撮影を行うものとする(図2-4)。
そこが崩壊した場合に人家や施設等に影響を与える地山部分を調査する際は、「(1)一定エリア内の被災状況の把握」と同様、地すべりや土石流の状況や兆候(滑落崖等)に注意しながら、数10m~150m程度の対地高度で飛行を行う。
具体的な異常が確認された場所では、「(2)被災箇所の詳細な状況の把握」に準じて、より低空の近接した位置からの映像の取得を試みる。
図2-6 高度別撮影映像