河川や道路等の線状施設においては、上流から下流(終点から起点)へ、下流から上流(起点から終点)へ、河川・道路・土砂流出ルート等に沿って、往復経路を撮影することが望ましい(図2-8、図2-9)。
その際、被災の可能性がある箇所全体をカバーすることが望ましい。例えば、堤防の片側のみに光があたっている場合、往路の飛行では、光があたる側の映像を撮影する。その後、復路の飛行では、陰になる側の状況を確認できるよう、画面の明るさや飛行経路を調整して撮影することが望ましい。
東側斜面は午前中に、西側斜面は午後に日射を浴びやすくなる。また、早朝・夕方は光量が少なく、影で覆われる範囲も広くなる。そのため、飛行経路の設定では、時間帯に応じた撮影箇所の選定を考慮することが望ましい。なお、日射を浴びる側の方が良好な映像が得られる傾向にあるが、被災状況調査の精度の確保しやすさの観点から、最適な日射条件に関しては今後の検討の余地がある。
詳細な状況調査を行う場合は、重要な被災箇所(例えば、堤防決壊箇所、道路の法崩れ箇所)の近接での映像に加えて、当該被災箇所の周辺も含めた被害状況(例えば、氾濫し浸水している状況、交通遮断で渋滞が発生している状況)を含めた映像も撮影し、周辺部も含めた被害実態も把握できるようにすることが望ましい。
飛行経路は、安全を確保しながら、良いアングルで撮影ができるように設定するよう努める。
土砂災害が発生した場合、既に被害等が発生している範囲に加えて、人家や施設等に影響が発生しそうな範囲の地表部全体を撮影ができる飛行経路の設定が望ましい。
途中、樹木が傾いている場所や地面が露出している場所に着目しながら飛行し、異常が確認された箇所は、より接近した映像の取得を試みる。
被災状況調査においては、災害の変動状況を追跡調査できるよう、以下のような方法で、飛行経路を記録することが重要である。