カメラアングルは、目的に応じ斜め映像又は正面映像(垂直写真含む)等の使い分けを行うことが必要である。
斜め映像は、下方向に近い向きの映像よりも、若干の空域を入れ込んだ横向きに近い映像の方が、全体像や位置関係が確認しやすくなる場合が多い(図2-11)。
例えば、土砂崩落現場では、土砂崩落の傾斜の角度が分かるように、斜め映像を撮影すると現場状況がわかりやすい(図2-12)。
一方、正面映像は、被災状況を歪みの少ないアングルで捉えることが可能であり、被災箇所のポイント撮影に適している(図2-13)。
調査員が入れない水面上や急斜面から、被災した河岸や斜面等を撮影したカメラアングルは、ドローンの特性を効果的に活かせる映像であり、非常に有効である。
なお、動画撮影中のカメラアングルの変更(「左右に動かすヨーイング」や「上下に動かすピッチング」)は、ゆっくりと行うべきである。また、アングルを変更する前後は、数秒アングルを固定した「タメ」の映像を挿入することで、メリハリの効いた映像となる。
撮影方向は、「ドローンの進行方向」「進行方向と直角方向」「進行方向と逆方向」「真下方向」といった選択があり、使い分ける必要がある。
「ドローンの進行方向」を撮影する方法は、視聴者の見やすさという点では優れている。
「進行方向と直角方向」や「真下方向」の撮影法は、アップの映像を得やすく、一定の区間を連続撮影して被災箇所を見つける場合に有効である。また、「真下方向」の撮影法は、樹木等の隙間から地表の状況を捉えたい場合には適用性がある。
「進行方向と逆方向」の撮影は、太陽の方角に向かって飛行する場合に有効である。
画面の移動速度が速すぎると写っている内容の確認が難しくなり、遅すぎると冗長な感じの映像となる。「進行方向と直角方向」又は「下方向」にカメラを向けてドローンを水平方向に飛行させながら映像を撮影する場合は、図2-14 画面上の地物の移動速度の適正範囲の内容を参考にすると良い。なお、以下に記したのはあくまでも被災状況の把握を目的とした撮影の場合のものであり、映像を見ていて心地よいと感じるのは、もう少しゆったりした移動速度の場合である。