ドローンはプロペラの回転により空気の流れを作り出すことにより揚力を得ており、空気密度が低い高地等ではこの揚力が得られにくくなる。このため、機種に応じて、飛行できる高度には限界がある。プロペラを高地仕様にすることで、高地での運用を可能にしている機種もある。東北地方では高い山でも2,000m台前半の標高のため、業務用で使用されている機種であれば、一般的には「標高」そのものは飛行の支障にはならない。ただし、ドローンの操作に用いるアプリにより高度制限がかけられている場合もあり、その場合は設定の変更が必要となるので留意を要する。また、高度が高くなると気温が低下し、バッテリー機能に問題が生じる場合もあり、特に冬期のオペレーションでは注意を要する。また、高度が高くなると風を遮るものがないため、風の影響にも注意が必要である。
ドローンが上昇してから帰還するまでの被災状況調査を安全に行うためには、可能な上昇高度や飛行距離を超えて飛行を行ってはならない。可能な上昇高度については、機種に応じたハード的な制約があるほか、ドローンを操作するアプリ側の設定により、最大で500mまで等の制限がかかる場合が多い。噴火した火口付近の撮影等、大きな上昇高度が求められる被災状況調査の場合は、機種や操作アプリを選ぶ際に注意が必要である。飛行距離は、バッテリーの状況、ペイロード(積載重量)、気温、飛行高度等に応じて変化するため、カタログスペックに関わらず、バッテリーが半減したら早期に帰還を試みる等、安全側を考えた対応が必要である。